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最近,大学の専門の勉強をしていない。どうも,ユキです。
今日は,先日に記事であげた,連分数展開の話の続きで,どのようにして,連分数の公式が出てきたのか,説明します。
https://cupuasu.club/arithmetic-square-number/
平方根は連分数展開で計算(近似)できる
連分数展開は,例えば,\(\sqrt{31}\)の連分数展開であれば,
連分数展開の公式
$$\sqrt{n}=m+\frac{n-m^2}{m+\sqrt{n}}$$
を使います。
\(n=31\),\(\sqrt{31}\)の整数部分は5なので,\(m=5\)とすると,
\(\sqrt{31}=5+\frac{6}{5+\sqrt{31}}\)
より,
\(\sqrt{31}=5+\frac{6}{10+\frac{6}{10+\frac{6}{10+\frac{6}{10+\frac{6}{10+\ddots}}}}}\)
という風に展開できます。
そして,今日のテーマは,どうして連分数展開の公式
\(\sqrt{n}=m+\frac{n-m^2}{m+\sqrt{n}}\)
を使うと,うまくいくのか?
また,\(e\),\(\pi\)などその他無理数でも,連分数展開が可能なのかについてお話ししていこうと思います。
連分数展開の公式を導く
実数\(\sqrt{n}\)と\(n\)の関係は,\(n\geq 0\)とすると,
\((\sqrt{n})^2=n\)
です。ここで,\(\sqrt{n}\)の整数部分を\(m\)として,両辺を\(m^2\)で引きます。
\((\sqrt{n})^2-m^2=n-m^2\)
この式変形をして,連分数展開の公式に近づけていきます。
\((\sqrt{n}+m)(\sqrt{n}-m)=n-m^2\)
\((\sqrt{n}-m)=\frac{n-m^2}{m+\sqrt{n}}\)
よって,
\(\sqrt{n}=m+\frac{n-m^2}{m+\sqrt{n}}\)
となります。
平方根の連分数展開の公式は,\(\pi\)や\(e\)に使えるのか?
導出過程を見ていただきましたが,一番最初の式は,
\((\sqrt{n})^2=n\)
から始まっています。ですので,この公式は,平方根を連分数展開には向いていますが,
\(e\),\(\pi\)を展開して導くことには対応していません。
\(e\),\(\pi\)では,連分数展開が不可能?
結論からいうと,できることにはできます。ただ,今回私が教えました展開方法だと,平方
根のように規則性をもった,連分数に展開できない上に,そもそも連分数展開は不可能です。
例えば,円周率\(\pi\)の近似値を平方数の連分数展開で出そうとします。
\(\pi\)が,3.14まで既知であるとき,
\(\pi=3+\frac{1}{\frac{1}{\pi-3}}\)
\(\pi=3+\frac{1}{7+\frac{1}{\pi-3}-7}\)
ここから,先は円周率の値を厳密に知らないので,出すことが出来ません。
\(e\)も同様です。
\(e\)や\(\pi\)を速いスピードで計算したい。
\(e\),\(\pi\)を連分数展開しようと思ったら,超幾何級数の連分数展開を使えば良いと思います。ただ,これが恐ろしく難しいので,オススメしません。
\(e\),\(\pi\)の値を出したいだけの人は,マクローリン展開でも導くことは可能ですが,収束スピードが遅いので,実用的ありません。
そこで,収束スピードを上げる為に,用いられるのが連分数展開です。以下の2記事は,連分数展開を使って,\(e\)と\(\pi\)を高速で計算する方法について,解説した記事になります。
\(e\)を高速で計算する方法->
\(\pi\)を高速で計算する方法->
以下の3記事は,円周率\(\pi\)を求める公式に関するネタ記事です。
https://cupuasu.club/arithmetic-infinite-integration/
無限積分というのは,積分範囲が無限大の広さをもつ積分です。
https://cupuasu.club/arithmetic-infinite-series/
無限級数とは,\(1+1+1+1+\cdots\)
みたいに無限に続く項のことを言います。無限に続くので省略して
\(\sum_{k=1}^{\infty}1\)
と表します。ちなみに\(1+1+1+1+\cdots\)が\(-\frac{1}{2}\)になる裏技は,無限の近くで,1を小さくするというずるい技(解析接続)を使ってます。
https://cupuasu.club/arithmetic-infinite-product/
無限積というのは,\(2・2・2・\cdots\)のように無限に続く積のことです。省略して
\(\prod_{k=1}^{\infty}2\)
と表します。
平方根の計算:まとめ
1.平方根の近似式を計算することには長けている
2.\(e\),\(\pi\)などの無理数には対応していない
3.\(e\),\(\pi\)には手を出すな! 小数点5桁まで覚えればOKです。
最後に
無理数は正則連分数展開が無限回まで続きます。
それが,無理数たる所以です。もしも,無理数を連分数展開したいのであれば,きれいな形に展開してあげましょう。