今回は、健康心理学についての記事です!
健康心理学とは、応用心理学の一種でこちらで紹介しています。
今回の記事を読むメリットは、
・健康の定義がわかる。
・健康心理学の基礎理論がわかる。
です。
健康の定義
健康とはいったいどのような状態なのでしょうか?
病気がない状態、精神的に安定している状態いろいろな健康の形がありますが、WHO(世界保健機関)が定めた健康の定義では
「身体的にも、精神的にも社会的にも完全に良好な状態を意味するものであって、単に病気または虚弱ではないということではない」
とあります。
健康は一つの静的な状態というよりは、この定義に当てはまるようにバランスをとりながら絶えず変化する動的な状態としてとられています。
健康心理学
心理的な側面だけでなく、身体的側面や生活習慣などの行動的側面、文化や人間関係などの社会的側面といったさまざまな要因が健康と疾病に影響するかを研究します。
心理学といいながら、それ以外の健康にまつわることを研究するので、「健康学」と言い換えても問題ないと思います。
健康の2つのモデル
健康には2つの大きな流れがあります。
生物医学モデル
病気は病原菌や化学物質などの外的要因と遺伝などの内的要因によって起こるものととらえることです。
よって、病原菌などによって不可避的に起こるので個人でのコントロールは不可能という考え方です。
生物心理社会モデル
病気は生物的、社会的、心理的な複数の要因の相互作用によって起こるととらえることで、こちらが一般的です。
感染症による死亡率は医学の進歩により、確実に低下していますががんや心疾患、脳血管疾患による死亡は増えています。
これは気持ちの持ち方が関連しているからであり、この事例がこの生物心理社会モデルの裏付けになります。
健康心理学の基礎的な理論
健康心理学を勉強するにあたって、5つの基礎的な理論があります。
1つ1つ解説します。
学習理論
学習とは「経験によって生じる比較的永続的な行動の変容」と定義されています。
直接的に経験しなくても、他人による間接的な代理経験によっても行動の変容がもたらされます。
古典的条件付け(レスポンデント条件付け)
ある刺激に対して生得的・反射的に起こる反応です。
いわゆる条件反射ともいわれますね。
熱湯を触ると、反射的に離してしまうのもこのことです。
オペラント条件付け
随意的な反応に報酬や嫌悪を与えることで、頻度が変わることを決定します。
随意的とは「自分によって操作できること」といいます。
オペラントは操作という英語であるoperationから来ています。
仕事を頑張ったら給料が出る、という経験を繰り返すことで、自発的に仕事をするというようなことです。
逆に、モノを壊したら怒られる、という経験を繰り返すと、自発的に行動を減らします。
行動が増えることを強化、行動が減ることを罰と呼んでいます。
発達理論
人間の心身状態や機能は、加齢に応じて変化し、これに伴って行動にも進化・体制化がみられて変容します。
方向性をもった発達変化のプロセスを検討しそれを支配する規制や条件などを解明して発達法則を探るのが発達心理学の目的です。
今回はフロイトとエリクソンの理論を説明します。
エリクソンは、自己と対人関係的、社会文化的、歴史的なかかわりを重視しています。
発達過程 | エリクソン | 健康心理学課題 |
胎児期 | 胎教 | |
乳児期 | 信頼、不信 | 養育者との関係 |
幼児前期 | 自律性、恥・疑惑 | 生活リズムの確立、身辺自立、安全確保 |
幼児後期 | 自主性、罪悪感 | 仲間集団との交流、衛生知識獲得 |
児童期 | 勤勉性、劣等感 | 社会的スキル、集団適応、健康な生活習慣理解 |
青年期 | 同一性 | アイデンティティ確率、対人関係の調整 |
成人期 | 親密、孤立 | メンタルヘルス、健康阻害行動の統制 |
壮年期 | 世代性、停滞性 | メンタルヘルス、生活習慣の確立 |
老年期 | 統合性、絶望 | 生きがい、生活管理、体力維持 |
健康心理学の課題を解決するために、研究が進められています。
認知理論
必要な情報を選択し、文脈に合わせて理解したり、経験によって記憶した事象と照合して解釈したり、多様なイメージに変換して主体的に読み取っている刺激や情報を能動的に解釈し、意味づけることを認知といいます。
りんごを見て、赤いと思うことは知覚ですが、美味しい・固いと思うことは認知です。
情報をポジティブに受け止めるかネガティブに受け止めるかは、心身の健康に影響します。
試合に負けたことをネガティブにだけ捉えるか、次に頑張る原動力としてポジティブに受け取るかによって今後の勝率も大きく変化しますよね。
動機付け理論
行動が喚起されて方向づけられ、持続すること。つまり行為がなぜ、どのように置き、続くのかを課題にしています。
「馬を水飲み場に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない」
という話もあり、どうやって動機づけるかが問題です。
動機付けに関してはこちらの記事を参考ください。
自己効力感
自己効力感には、行動がある結果をもたらすだろうという結果期待と対処行動をうまく遂行できるという期待が含まれています。
この自己効力感が動機がけにも関係していると言われます。
期待×価値理論
ある方向に行動しようとする傾向の強さは、その行動から一定の結果が得られるという期待の強さと、結果に対する個人の価値の高さによって決まるという理論です。
価値があってもできないと思ったり、できると思っても価値がなければやる気は0です。
自己原因性の理論
自分が行動の原因であると知覚すれば内発的で、他者から行動を統制されていると捉える場合には、外発的に動機づけられると考えられています。
この理論では、心理的な欲求(有能さ、自律性、関係性)が動機付けに影響し、認知的・情動的・行動的な結果をもたらすと考えられています。
パーソナリティ理論
環境の要請への対応の仕方や、行動にはパーソナリティが関与すると考えられます。
こちらの記事で、性格について取り扱っています。
最後に
今回は、健康心理学の基礎的な部分を解説していきました。
次回以降、少しずつ深堀りしていきながら、健康になる方法について述べていきたいと思います。
健康になるための結論は一般的なもの(目標を持とう!健全な生活習慣を保とう!など)ですが、理論が分かればより効果が期待できると思うので、ぜひ読んでもらいたいです。
最後までお疲れさまでした。