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電磁気学Ⅳ演習問題(後半部)
問題3
問題3:
図のような磁路長\(l\)m,断面積\(S\)[m^2],比透磁率\(μ_r\)の磁性体を用いて\(N\)巻のリング状コイルを作成し電流を流したところ,磁性体は周方向に磁化され,磁化の大きさは\(M\)[A/m]であった。漏れ磁束はないものとするとき,流した電流を求めよ。
問題3解答
磁化の大きさ\(|M|\)と磁束の大きさ\(|H|\)の関係式は,
\(|M|=\frac{B}{μ_0}-H=(μ_r-1)|H|\tag{1}\)
続いて,磁束\(|H|\)と電流\(I\)の関係式は,アンペールの周回積分の法則より,
\(\oint_C H・ds=NI\)
\(|H|\underbrace{\oint_C ds}_{磁路長:l}=NI\)
\(|H|=\frac{NI}{l}\tag{2}\)
式(1),式(2)から,磁化の大きさ\(|M|\)と電流\(I\)の関係式は,
\(|M|=(μ_r-1)\underbrace{\frac{NI}{l}}_{H}\)
\(I=\frac{|M|l}{N(μ_r-1)}\)[A]
<終>
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問題4
問題4:
図のような磁化特性を持つ磁性体を用いて,ギャップを設けたリング状コイルを作成した。磁性体の磁路長は100mm,断面積は50mm^2であり,ギャップ長は10mm,巻数は500巻きである。このコイルの動作磁束密度を0.4Tにしたいとき,何Aの電流を流せば良いか?漏れ磁束はないものとする。
問題4解答
等価磁気回路を下に示す。
このとき,電流\(I\)は,
\(I=\frac{1}{N}\underbrace{Φ}_{BS}(\underbrace{R_{m1}}_{\frac{l}{μ_0μ_r S}}+\underbrace{R_{m2}}_{\frac{l_g}{μ_0 S}})\)
\(I=\frac{B}{N}(\frac{l}{μ_0μ_r}+\frac{l_g}{μ_0})\tag{1}\)
ここで,グラフより\(μ_0μ_r\)を求めると,
\(μ_0μ_r=\frac{B}{H}=\frac{0.4}{40}=0.01\tag{2}\)
よって,式(1),式(2)より電流\(I\)は,
\(I=\frac{0.4}{500}(\frac{100\times 10^{-3}}{0.01}+\frac{10\times 10^{-3}}{4\pi \times 10^{-7}})=6.37\)A
問題5
問題5:
図のように\(x=0\)の平面で真空部と接する半無限長の磁性体(比透磁率は\(μ_r\))がある。\(x=a\)の位置に配置した無限長導体の\(-z\)方向に電流\(I\)を流したときに,各部の磁界を求めるのに必要な(=境界条件を満足する)鏡像電流の位置並びに大きさを求めよ。
問題5解答
真空と磁性体の境界である点\((0,y)\)の磁界と磁束密度について考える。
真空の磁界と磁束密度をそれぞれ\(H_0\),\(B_0\),磁性体の磁界と磁束密度をそれぞれ\(H_{mag}\),\(B_{mag}\)とすると,
\(H_{mag}=\underbrace{\frac{I}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\sin \theta i_x+\frac{I}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\cos \theta i_y}_{Iが作る磁界}+\)
\(\underbrace{\frac{I’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\sin \theta i_x-\frac{I’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\cos \theta i_y}_{I’が作る磁界} \)
\(H_{mag}=\frac{I+I’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\sin \theta i_x+\frac{I-I’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\cos \theta i_y \tag{1}\)
\(B_{mag}=μ_0μ_r\frac{I+I’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\sin \theta i_x+μ_0μ_r\frac{I-I’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\cos \theta i_y \tag{2}\)
\(H_{0}=\underbrace{\frac{I’’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\sin \theta i_x+\frac{I’’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\cos \theta i_y}_{I’’が作る磁界}\tag{3}\)
\(B_{0}=μ_0\underbrace{\frac{I’’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\sin \theta i_x+μ_0\frac{I’’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\cos \theta i_y}_{I’’が作る磁界}\tag{4}\)
ここで,\(x=0\)における磁界と磁束密度の境界条件は,
\(H_{0}\times i_x=H_{mag}\times i_x\tag{5}\)
\(B_{0}・i_x=B_{mag}・i_x\tag{6}\)
式(5)に,式(1)と式(3)を代入。
\((\frac{I’’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\sin \theta i_x+\frac{I’’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\cos \theta i_y)\times i_x=\)
\(\frac{I+I’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\sin \theta i_x+\frac{I-I’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\cos \theta i_y )\times i_x\)
\(I’’=I-I’\tag{7}\)
式(6)に,式(2)と式(4)を代入。
\((μ_0\frac{I’’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\sin \theta i_x+μ_0\frac{I’’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\cos \theta i_y)・i_x\)
\(=(μ_0μ_r\frac{I+I’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\sin \theta i_x+μ_0μ_r\frac{I-I’}{2\pi \sqrt{a^2+y^2}}\cos \theta i_y)・i_x\)
\(I’’=μ_r(I+I’)\tag{8}\)
式(7)と式(8)の連立方程式を解くと
\(I’’=\frac{2μ_r}{1+μ_r}I\)
\(I’=\frac{1-μ_r}{1+μ_r}I\)
<終>
問題6
問題6:
図のような三脚磁気回路がある。磁性体の比透磁率\(μ_r\)は1,000,中央部の断面積\(S_0\)は200cm^2,その他の部分の断面積\(S_1\)は100cm^2,\(l_1=40.0\)cm,\(l_2=160cm\),\(N_1=1,000\),\(N_2=2,000\),\(I_1=5.00\)A,\(I_2=10.0\)A,ギャップ長\(d=2.00\)cmである。ギャップ部の磁束密度\(B_0\)を有効数字3桁で求めよ。上から下方向へ磁束が流れる場合を正とせよ。
問題6解答
等価磁気回路を以下に示す。
<準備>
磁気抵抗をそれぞれ,\(R_{m1}\),\(R_{m2}\),\(R_{m3}\)
\(R_{m1}=R_{m3}=\frac{l_1+l_2}{μ_0μ_r S_1}=\frac{5l_1}{μ_0μ_r S_1}\)
\(R_{m2}=\frac{l_1-d}{μ_0μ_r S_0}+\frac{d}{μ_0 S_0}=\frac{l_1-d}{μ_0μ_r 2S_1}+\frac{d}{μ_02 S_1}\)
\(N_2I_2=20 \times 10^3\)
\(N_1I_1=5 \times 10^3\)
<準備終了>
ここで,テブナンの定理を用いて計算する。
1-1’間の起磁力\(V_0\)は,
\(V_0=N_2I_2\frac{R_{m3}}{R_{m1}+R_{m3}}-N_1I_1\frac{R_{m1}}{R_{m1}+R_{m3}}\)
\(V_0=\frac{1}{2}(N_2I_2-N_1I_1)\)
1-1’から見た合成磁気抵抗\(R_{m0}\)は,
\(R_{m0}=\frac{R_{m1}R_{m3}}{R_{m1}+R_{m3}}\)
\(R_{m0}=\frac{R_{m1}}{2}\)
テブナンの定理より,磁束\(Φ\)は,
\(Φ=\frac{V_0}{R_{m2}+R_{m0}}\)
\(Φ=\frac{\frac{1}{2}(N_2I_2-N_1I_1)}{\underbrace{\frac{l_1-d}{μ_0μ_r2S_1}+\frac{d}{μ_02 S_1}}_{R_{m2}}+\frac{R_{m1}}{2}}\)
磁束密度\(B_0\)について,
\(\underbrace{B_{0}}_{\frac{Φ}{S_0}=\frac{Φ}{2S_1}}=\frac{1}{2S_1}\frac{\frac{1}{2}(N_2I_2-N_1I_1)}{ \frac{l_1-d}{μ_0μ_r 2S_1}+\frac{d}{μ_02 S_1} +\frac{5 l_1}{2μ_0μ_r S_1}}\)
\(B_0=\frac{\frac{μ_0μ_r }{2}(N_2I_2-N_1I_1)}{ l_1-d+μ_rd +5 l_1}\)
\(B=\frac{\frac{1000 \times 4\pi \times 10^{-7}}{2}(20-5)\times 10^3}{22.38}\)
\(B=\frac{3\pi}{22.38}=0.421\)[T]
<終>
電気学の演習問題ー>
問題7
問題7:
十分広い面を持つ比透磁率\(μ_r\)の2つの磁性体を距離\(l\)隔てて真空中に平行に配置し,磁性体から角度\(\theta\)で磁束密度\(B\)(=\(|B|\))を真空領域に入射した。この2つの磁性体間に働く単位面積あたりの力の大きさを求めよ。
問題7解答
磁性体を右方向に\(Δz\)だけ仮想変位させたとき,真空中にたくわえる磁気エネルギーの変化量を\(ΔW\)とすると,単位面積あたりに働く力の大きさ\(|f|\)は
\(f=-\frac{ΔW}{Δz}\)
となる。
ここで,真空の磁界と磁束密度を\(H_0\),\(B_{0}\),磁性体内の磁界と磁束密度を\(H_{mag}\),\(B_{mag}\)とすると,
\(B_{0}=|B|\cos \theta i_x+|B|\sin \theta i_y\tag{1}\)
\(H_{0}=\frac{|B|}{μ_0}\cos \theta i_x+\frac{|B|}{μ_0}\sin \theta i_y \tag{2}\)
\(B_{mag}=| B_{mag}|\cos \theta ‘ i_x+| B_{mag}|\sin \theta ‘ i_y \tag{3}\)
\(H_{mag}=\frac{|B_{mag}|}{μ_0μ_r}\cos \theta ‘ i_x+\frac{|B_{mag}|}{μ_0μ_r}\sin \theta ‘ i_y \tag{4}\)
ここで,磁界と磁束密度の境界条件を用いると,
\(H_{0}\times i_x=H_{mag}\times i_x\)
\(B_{0}・i_x=B_{mag}・i_x\)
式(5)に式(2),式(4)を代入すると,
\((\frac{|B|}{μ_0}\cos \theta i_x+\frac{|B|}{μ_0}\sin \theta i_y)\times i_x=(\frac{|B_{mag}|}{μ_0μ_r}\cos \theta ‘ i_x+\frac{|B_{mag}|}{μ_0μ_r}\sin \theta ‘ i_y)\times i_x\)
\(\frac{|B|}{μ_0}\sin \theta =\frac{|B_{mag}|}{μ_r}\sin \theta ‘\tag{7}\)
\((|B|\cos \theta i_x+|B|\sin \theta i_y)・i_x=(| B_{mag}|\cos \theta ‘ i_x+| B_{mag}|\sin \theta ‘ i_y)・i_x\)
\(|B|\cos \theta =| B_{mag}|\cos \theta ‘\tag{8}\)
式(7),式(8)を式(1),式(2)に代入すると,
\(B_0=|B|\cos \theta i_x+\frac{|B|}{μ_r}\sin \theta i_y \)
\(H_0=\frac{|B|}{μ_0}\cos \theta i_x+\frac{|B|}{μ_0μ_r}\sin \theta i_y \)
単位体積当たりの磁気エネルギー\(w\)は,
\(w=\frac{1}{2}B_0・H_0=\frac{|B_0|^2}{2μ_0}\)
\(w=\frac{|B|^2}{2μ_0}\cos^2 \theta+\frac{1}{2μ_r^2}\sin^2 \theta\)
ここで,真空中にたくわえる磁気エネルギーの変化量\(ΔW\)は,
\(ΔW=w(l-Δz)-wl=-wΔz\)
よって,\(|f|\)は,
\(|f|=-\frac{|ΔW|}{Δz}=\frac{wΔz}{Δz}=\frac{|B|^2}{2μ_0}\cos^2 \theta+\frac{1}{2μ_r^2}\sin^2 \theta \)[N/m^2]
<終>
まとめ
単位体積当たりのエネルギー
$$w_m=\frac{1}{2}H・B$$
力とエネルギーの関係式
$$F=-∇W$$
磁気回路のキルヒホッフの法則
$$NI=R_m Φ$$
磁気抵抗
$$R_m=\frac{l}{μS}$$
境界条件
$$H_1\times n=H_2\times n$$
$$B_1・n=B_2・n$$