今回もコンプレックスについてです。
前回の記事はこちらになります。

さっそく紹介します。
カインコンプレックス

兄弟姉妹間の親の愛をめぐる葛藤のことです。
兄弟の関係において差別的に親の感情を受けた場合、親の愛をめぐる葛藤の相手となった兄弟と同じ世代の周囲の人間に憎悪を抱くこともあるといいます。
一般的には、兄弟間の心の葛藤、兄弟・姉妹間で抱く競争心や嫉妬心のことをいうとされます。
旧約聖書『創世記』に登場する兄弟を「カインとアベル」といい、これから名前が付けられました。アダムとイヴの息子で、兄のカインは農耕、弟のアベルは羊は放牧していた。
各々の収穫物を神であるヤハウェに捧げるも、カインの供物は無視し、それを恨んだ下院はアベルを誘い殺害することからつけられました。
ちなみにその後、ヤハウェにアベルの行方を問われた下院は「知りません」と答え、これが人間のついた最初の嘘とされています。
アブラハムコンプレックス

父親の息子に対する憎悪のことです。
旧約聖書には父アブラハムが主アドナイの声と息子イサクの声を聴き間違えて息子を殺そうとする場面があります。
アブラハム自身にイサクに対する殺意があったためだといわれていることから名前が付けられました。
子どもはある程度成長すると父親から精神的に自立しようとするが、子どもに対して愛情を抱いている父親にとっては苦痛でもあります。
自分を精神的に分離させる(愛したい気持ちと、憎む気持ちのアンビバレンス)により息子を殺してしまうという話です。

白雪姫コンプレックス

子どものときに虐待された母親が、自分の娘に対しても虐待を行ってしまう被虐待児症候群です。
名前の通り、白雪姫からつけられています。
白雪姫の物語は、王妃が「鏡よ鏡。世界で一番美しい女性は誰?」と聞くと白雪姫という答えが返ってきて、怒りのあまり白雪姫を殺そうとします。
なんとか生きながらた白雪姫は森で7人の小人と暮らすが、王妃は物売りに化けて毒リンゴを食べさせ意識不明になっていたところを、王子様が助けるというような話です。(正直知りませんでした)
この話には、実母に愛されず育ったために復讐の意味合いを込めて、全く関係のない自分の子どもに虐待を加えてしまうという裏話があります。
というか殺そうとしすぎ。
ここで休憩
一回休憩をはさみます。
ウェスターマーク効果

幼少期から同一の生活環境で育った相手に対しては、性的興味を持つことは少なくなるという効果です。
生得的な嫌悪感や、周囲の人がそうしていることを想像すると不快感を覚えるからだとも言われています。
アニメなどではこのファザーコンプレックス、マザーコンプレックス、ブラザーコンプレックスやシスターコンプレックスは、萌えの要素でありポップに表現したりしますが、正直近親でそのような関係になることは笑い事ではないです。
海外でも近親での性的虐待により悲惨な人生になってしまった事例はいくつもあります。
このコンプレックスに対してどのように向き合うかが大切です。
シンデレラコンプレックス

男性に高い理想を追い求め続ける、女性の「依存的願望」のことです。
童話『シンデレラ』のように、外からくる何かが自分の人生を変えてくれるのを待ち続けるとして、名付けられました。
他人に面倒を見てもらいたいという潜在的願望によって、女性が「精神と創造性」を充分に発揮できずにいる状態とも呼ばれます。
幼いころから女性の幸せは男性に決まると考え、シンデレラのように理想を追い求めるも、主婦をやっているうちに自主性を見失い、結果的に夫に依存し自由と自立を捨ててしまうとされています。
女性の自立を拒む要因として「白馬の王子様がどこからか現れて自分を救ってくれる」という想像があるからです。
裕福や家庭で育てられたり、高学歴な女性に多くみられるとされ、
有能で仕事ができ、社会的に自立している反面、
他人に依存したいという潜在的な欲求が強いとされています。
ロリータコンプレックス

幼女・少女に対する性的嗜好や恋愛感情のことです。略称はロリコン。
ロリータとは、中年の男性が歳の離れた少女を愛するウラジーミル・ナボコフの小説『ロリータ』の登場人物である少女の愛称・ロリータに由来しています。
日本で初めて使われた時には「少女が中年男性に関心を抱く」という逆の意味で用いられていました。
精神医学上も小児性愛(ペドフィリア)という定義がされています。
正太郎コンプレックス(ショタコン)

少年や小さい男の子を対象に抱く愛着・執着のことです。略称はショタコン。
ロリータコンプレックスの反対と捉えられています。
アニメ雑誌『ふぁんろーど』の編集長が読者からの質問に答えるコーナーで生まれました。
「少女を好きな男性をロリコンと呼ぶなら、少年を好きな女性はなんと呼ぶべきか?」という問いに対して『鉄人28号』の主人公、金田正太郎の名前を挙げ、そこから由来しています。
二次元コンプレックス

アニメ・マンガ・パソコンゲームなどの二次元キャラクターに対してのみ、性的感情・恋愛感情を抱く状態を指します。略称は二次コン。
アニメ・マンガの熱狂的なファンの間で、アニメの少女キャラクターに対して偏愛する行為に対して、使われ始めました。
SNSやネットなどでも女性キャラクターに対して「俺の嫁」というなど、社会的に寛容的に捉えられていますが、法律上では結婚することはできません。
また、そのようにネット上で発言している人も、冗談として現実とわきまえていることが多いため、二次元コンプレックスではないとされています。
二次元コンプレックスの人は現実に対して強い羞恥心や引け目を感じている人が多く、
現実に適応できなかったり、異性に性的興奮を抱かないなどの弊害が見られています。
メサイアコンプレックス

強迫的に人を援助するように信念を抱く心の状態を指す言葉です。
メサイアとは一般的な日本語ではメシア(救世主)と言われるもののことです。
自尊心の低さを他者を助けることからくる自己有用感で補償する人々を含めます。
この心理には、自分は不幸であるという感情を抑圧していたため、その反動として自分は幸せであるという強迫的な思い込みが発生するとされます。
さらにこの状況が深まると、自分自身が人を助けることで自分は幸せだと思い込もうとします。
幸せな人は不幸な人を助けて当然という考えを自らに課すことで、「自分は幸せである、なぜなら人を助けるような立場にいるから」と無理矢理自己肯定感を高めます。
自己満足で助けられてもどうかなとは思うけど、どっちにもプラスな感じはありますよね。
やりすぎは禁物です
ユディットコンプレックス

強い男に身を任せたい感情と、支配はされたくないという精神状態が重なった女性の二重心理です。
元の話は、未亡人(夫が亡くなり、再婚していない女性)ユディトは自分の街を襲ってきた敵を魅了し、油断したところを首を斬り街を救うという話から由来しています。
女性には強い男に進んで身を任せたい心理があるとされるが、その一方で自分の貞操を汚した男を殺したい憎しみが無意識に存在するとされています。
このコンプレックスを持っている女性は、男性からは自分の心を弄んでいるように見られることもよくあります。
ダイアナコンプレックス

男性に負けたくないという女性心理です。
ダイアナとは、ギリシャ神話のアルテミスをあらわしていて、
アポロンの双子の姉である彼女は女性の狩猟の神であり、
生涯貞操を守り続けたとされています。
そのため、女で在りながら男らしくなりたかった心理を持っていると解釈され、この言葉ができました。
性同一性障害とは違い、潜在的な原因であり女性の男性に負けたくないという感情を表すものとなり、男性になりたいというものではないからです。
カメリアコンプレックス

不幸な女性を救おうとする男性の心理です。
カメリアとは、日本でいう椿(つばき)のことで、由来はアレクサンドル・デュマ・フィス著の『椿姫』のヒロインのマルグリットです。
マルグリットは、自らの身体を売るような仕事をしており、彼女に青年アルマンが恋をするという物語です。
身体を売るような仕事が、不幸な女性であることを表しています。
この小説から、女性がどんな人であろうと、余計なことをしてでも、救い出そうとする男性の心理をカメリアコンプレックスと呼ぶようになりました。
スペクタキュラコンプレックス

男女の性嗜好が行動を規律する心理をいいます。
もっと簡単に言うと、男女が異性を見たい・見せたいという心理です。
スペクタキュラ(spectacular)とは「見世物の」という意味であり、男女が見世物であるということで、この用語は成立しました。
男性が女性を見たいのは愛したいからであり、
女性が男性を見せたいのは愛されたいからであるとされます。
その欲望に任せてそのまま行動すると社会に認められないため抑圧したり
歪曲するかたちで表現されます。
その葛藤が人の行動をさまざまに変化させ、行為の基準、いわゆる規律を定めると言われています。
ピグマリオンコンプレックス

人形に対する愛着を意味する用語です。
「ピグマリオン」は、ギリシャ神話の登場人物で、彫刻家が自分で作った彫刻のあまりの美しさに恋をし、その彫刻を神様に人間にしてもらうという話から来ています。
古来より、古墳などで人間と一緒に埋葬されたケースや、
無病息災を願って人形を川に流す風習や愛玩用として人形を人間の身代わりとして、
扱う習慣があったが、これらの人形が作られる過程で愛情を抱くようになるケースを指すこともある。
「自分自身の姿」や「理想像」を投影しながら製作する職人も多く、
現実では「意志を持ち、相手を裏切ることもある」人間に対して、
いつまでも変わることのない人形へ逃避することもあるとされています。
こちらの記事ではピグマリオン効果について解説しています。

最後に
今回は、劣等コンプレックスは扱わずユングの唱えた感情複合のコンプレックスのみを扱いました。
このコンプレックスたちは、多くの人には関係のないものだと思います。
ですが、うんちくとして知っておいたり、いろんな人がいるかもしれないと人に対して寛容的になれるといいなと思い、執筆いたしました。
自分の価値観を強制するのではなくまず認め、建設的に解決策を模索してみてください。
最後までお疲れさまでした。
