今日は,賭博黙示録カイジに登場するEカードを確率で分析します。
私は,eカードは数当てゲームに過ぎないと思いつつも,それなりに面白さを感じています。
また,必勝法がないことを証明したので,皆さんにシェアしたいと思います。
今回の記事を読むメリット
・カイジのeカードの勝つ確率がわかる
・カイジのeカードでの最適戦略がわかる
eカードとは
カイジを見たことがある人はわかるかもしれませんが、説明します。
eカードは,3つの役職
- 「皇帝」
- 「市民」
- 「奴隷」
を使って戦うカードゲームです
順に,「皇帝」カード,「市民」カード,「奴隷」カードです。
eカードのルール
1. ゲームプレイ人数は2人です。
2. 「皇帝側」と「奴隷側」に分かれて戦います
・「皇帝側」は皇帝1枚と市民4枚
・「奴隷側」は奴隷1枚と市民4枚
自分のカードを確認したら,カードが相手に見えないように,伏せておきます。
3. 勝負はターン制で,1ターンごとにお互いにカードを1枚ずつだします,
4. ターン終了時に伏せていた2枚のカードを表にして,お互いに出したカードを確認します。
5. 2人が同じカードを出していたら,次のターンに進み,2人がそれぞれ異なるカードを出していたら,ゲームが終了します。
6. ゲームの勝敗
強さの関係は3つだけ
- 「皇帝」は「市民」に勝つ
- 「市民」は「奴隷」に勝つ
- 「奴隷」は「皇帝」に勝つ
図:3つのカード「皇帝」,「市民」,「奴隷」の関係
「奴隷」が勝つ確率と「皇帝」が勝つ確率を計算
自分が「奴隷」を出したターンに,相手が「皇帝」を出していればよいから,
「奴隷」を出すまでのターン数
「皇帝」を出すまでのターン数
が一致していれば,奴隷は勝てます。
eカードは数当てゲームと同じ
奴隷側が負ける場合(例:)
例:奴隷側が3番目に「奴隷」を出して,Bが5番目に「皇帝」を出す場合
奴隷 | |||||
奴隷側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝 |
奴隷側が勝つ場合(例:)
例:奴隷側が5番目に「奴隷」を出して,Bが5番目に「皇帝」を出す場合
奴隷 | |||||
奴隷側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝 |
分母:2人がカードの出すパターンは,
$$5通り\times 5通り=25通り$$
分子:そのうち,奴隷が勝つ場合は次の5通り
奴隷 | |||||
奴隷側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝 |
奴隷 | |||||
奴隷側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝 |
奴隷 | |||||
奴隷側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝 |
奴隷 | |||||
奴隷側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝側: | 1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 |
皇帝 |
よって,奴隷が勝つ確率は,
$$\frac{奴隷が勝つ}{カードを出す}=\frac{5}{25}=\frac{1}{5}$$
逆に,皇帝が勝つ確率は
$$1-\frac{1}{5}=\frac{4}{5}$$
賢い人は,eカードが時間のかかる1~5までの数当てゲームと同じということがわかりましたよね?
意外に奴隷が勝つ確率もある!
【別解】eカードで奴隷が勝つ確率
それぞれ回を重ねるごとの勝つ確率を足す。
皇帝が勝つ確率 | 奴隷が勝つ確率 | |
1回目 | \(\frac{8}{25}\) | \(\frac{1}{25}\) |
2回目 | \(\frac{6}{25}\) | \(\frac{1}{25}\) |
3回目 | \(\frac{4}{25}\) | \(\frac{1}{25}\) |
4回目 | \(\frac{2}{25}\) | \(\frac{1}{25}\) |
5回目 | \(\frac{0}{25}\) | \(\frac{1}{25}\) |
これらを足し合わせると上の解説同様に
皇帝が勝つ確率は
$$\frac{4}{5}$$
となる。
eカードに必勝法はない

結論から申し上げますと,eカードは何ゲーム繰り返しても必勝法にたどり着くことはありません。
eカードは1~5までの数あてゲームと確率学的には同じなので,必勝法は存在しないことがわかります(自明)。
ただし,最適戦略は存在します。最適戦略は数学的に求めることが可能です。
eカードの最適戦略

結論:テキトーに出しましょう!
「市民」以外のカードを出すターン数をランダムに選ぶと良いことが知られています。
次の記事で証明(東京大学入試問題の改題)を載せておきますので,興味がある人だけ見てください。

eカード確率:まとめ

eカードの勝つ確率は,奴隷側だと,\(\frac{1}{5}\),皇帝側だと,\(\frac{4}{5}\)
eカードの確率モデルは1~5までの確率モデルと変わらない
eカードの最適戦略は,皇帝側であれば「皇帝」のカード,奴隷側であれば「奴隷」のカードを出すターン数をランダムに決めるだけでいい
最後に
eカードは,「カイジ」のようにイカサマがなく,私のようにランダム表を使わなければ,心理戦として普通に楽しめるゲームなので,やってみてはいかがでしょうか。
ですが基本的に皇帝サイドが優位なゲームなので,公平性という面ではつまらないかもしれませんが,少しルールを変えるだけもっと楽しめると思います。
負けたら,どぉしてだよぉぉぉおおおおおお!!というだけでも十分楽しめるゲームであると思います。
次回は最適戦略を求めていきます。ぜひ読んでください。