どうも,ユキです。
eカードの必勝法を知りたい?だったら,数学をつかって解明してやるよ。
ということで,eカードの最適戦略をもとめる自作問題を解くだけの記事となっています。
前回の記事で、eカードでの勝率を載せています。
今回の記事を読むメリット
・eカードで取るべき最適戦略がわかる
eカードのルール
1. ゲームプレイ人数は2人です。
2. 「皇帝側」と「奴隷側」に分かれて戦います
・「皇帝側」は皇帝1枚と市民4枚
・「奴隷側」は奴隷1枚と市民4枚
自分のカードを確認したら,カードが相手に見えないように,伏せておきます。
3. 勝負はターン制で,1ターンごとにお互いにカードを1枚ずつだします,
4. ターン終了時に伏せていた2枚のカードを表にして,お互いに出したカードを確認します。
5. 2人が同じカードを出していたら,次のターンに進み,2人がそれぞれ異なるカードを出していたら,ゲームが終了します。
6. ゲームの勝敗
強さの関係は3つだけ
- 「皇帝」は「市民」に勝つ
- 「市民」は「奴隷」に勝つ
- 「奴隷」は「皇帝」に勝つ
図:3つのカード「皇帝」,「市民」,「奴隷」の関係
別の記事で,次の等式
『eカード=1~5までの一桁の数あてゲーム』
が成り立つことを示しています。
ここからは,eカードを1~5までの数当てゲームとして考え,eカードの最適戦略を見つけます。
(※前提条件として,両者は常に最善手をとり,完全記憶能力者であるとします)
東大1992年理系第6問の改題
自作問題:
1~5までの一桁の数をあてるゲームにおいて,ゲームプレイヤー「相手」と「自分」がそれぞれ「皇族側」,「奴隷側」のカードを手に取って,勝負を始めます。
「皇族側」は自分が決めた一桁の数字を「奴隷側」に言い当てられたら負けとします。
なお,ゲームの勝敗に応じて以下の表のように点数が配分されるものとする。
勝ち | 負け | |
奴隷側 | 4 | -1 |
皇族側 | 1 | -4 |
このとき,「自分」の最適戦略を求めよ。
※最適戦略:自分の得点の期待値\(E\)がマイナスにはならない戦略
自作問題解答
相手が\(i\)(\(i\)は1~5)を出す確率を\(p_i\) とするような戦略を(\(p_1,p_2,p_3,p_4,p_5\))とします。
同様に,自分が\(j\)(\(j\)は1~5)を出す確率を\(q_j\) (\(j\))を自分の戦略を(\(q_1,q_2,q_3,q_4,q_5\))とします。
すると,自分の得点の期待値\(E\)は,次のように書ける。
$$E=4\sum_{i=j=1}^{5}p_iq_j-(\sum_{i=1}^{5}\sum_{j=1}^{5}p_iq_j-\sum_{i=j=1}^{5}p_iq_j) $$
$$ E=5\sum_{i=1}^{5}p_iq_i-\sum_{i=1}^{5}\sum_{j=1}^{5}p_iq_j $$
$$E=\sum_{i=1}^{5}p_i(5q_i-\sum_{j=1}^{5}q_j)$$
ここで,最適戦略を用いているので,相手がどのような戦略を用いても\(E\geq 0\)でなければならない。例えば,相手が
必ず1を出す(1,0,0,0,0),2を出す(0,1,0,0,0),3を出す(0,0,1,0,0),4を出す(0,0,0,1,0),5を出す(0,0,0,0,1)の場合にも\(E\geq 0\)でなければならない。
相手が,\(i\)(\(i\)は1~5)を必ず出す場合
$$E= p_i(5q_i-\sum_{j=1}^{5}q_j) $$
が成立。ここで,\(E\geq 0\)とならなければならないから,
$$5q_i-\sum_{j=1}^{5}q_j \geq 0$$
となるので,5つの連立不等式
$$5q_1-\sum_{j=1}^{5}q_j \geq 0 \tag{1}$$
$$5q_2-\sum_{j=1}^{5}q_j \geq 0 \tag{2}$$
$$5q_3-\sum_{j=1}^{5}q_j \geq 0 \tag{3}$$
$$5q_4-\sum_{j=1}^{5}q_j \geq 0 \tag{4}$$
$$5q_5-\sum_{j=1}^{5}q_j \geq 0 \tag{5}$$
が成り立つ。
ここで,式(1)-式(2),式(2)-式(3),式(3)-式(4),式(4)-式(5),式(5)-式(1)を行うと,
$$q_1 \geq q_2 \tag{6}$$
$$q_2 \geq q_3 \tag{7}$$
$$q_3 \geq q_4 \tag{8}$$
$$q_4 \geq q_5 \tag{9}$$
$$q_5 \geq q_1 \tag{10}$$
\(q_1=0\)と仮定すると,
\(q_2=0\),\(q_3=0\),\(q_4=0\),\(q_5=0\)となり,不適。
よって,\(q_j\neq 0\)であることがわかる。
式(6)~式(10)を全てかけると,
$$q_1q_2q_3q_4q_5 \geq q_1q_2q_3 q_4 q_5$$
となり,等号成立。この等号成立は,式(6)~式(10)の等号が成立していなければおこらないことなので,
$$q_5 =q_4= q_3 =q_2 =q_1$$
そして,\(q_5+q_4+q_3+q_2+q_1=1\)が成立するから,
$$5q_5 =5q_4=5q_3 =5q_2 =5q_1=1$$
$$ q_5 =q_4= q_3 =q_2 =q_1=\frac{1}{5}$$
よって,最適戦略は
$$(q_1,q_2,q_3,q_4,q_5)=(\frac{1}{5},\frac{1}{5},\frac{1}{5},\frac{1}{5},\frac{1}{5})$$
これは,自分が「奴隷」である場合の最善手ですが,自分が「皇族」である場合も答えは同じになります。
eカードの最適戦略
eカードの最適戦略は,「皇族側」である場合は「皇族のカード」を,「奴隷側」である場合は「奴隷のカード」を1番目から5番目までランダムに配置してあげることが最適戦略であることがわかります。
また,相手に読まれないように,カードを出す際にそのカードを見たらいけません。
結論:カードを見ずにテキトーに出せ
つまり,eカードは,感情を排除したプログラムが最強!
ということです。
最後に
私の自作問題は,いかがだったでしょうか。
これは,私が作ってきた自作問題の中でもかなり難しい方だと思います。
私は正直この結果を見て,「これだけ,面倒な式変形をやって得られた結果ショボすぎん?」と思いました。
この結論が得られたからといって,実行する人はいないんじゃないかなと感じています。
相手との駆け引きが面白いこのゲームで,カードを見ずに運任せで出して何が面白いんでしょうか。
残念な結論でした。