数字は素晴らしい。
今回は前回紹介した素数,双子素数以外の〇〇数について4つだけ,みていきます。
具体的には
- 完全数
- メルセンヌ数
- 友愛数
- 婚約数
の4つです。
先に言っておくと、完全数以外はほぼ使うことのない雑学です。
今回の記事を読むメリット
・数字についてわかる
・雑学が増える
完全数
さっそく,1つ目ですね。
完全数とは,自分自身を除く約数の和に等しくなる自然数のことです。
言い換えると,完全数とは,約数の和が自分自身の2倍になる数のことを言います。
約数の和\(S(n)\),完全数を\(n\)とすると,次のような式で表せます。
$$S(n)=2n$$
完全数の例
- 6(=1+2+3) 6の約数は1,2,3,6なので6以外を足した数
- 28(=1+2+4+7+14) 28の約数は1,2,4,7,14,28なので28以外を足した数
- 496(=1+2+4+8+16+31+62+124+248) 同上
完全数の約数の総和は
- \(S(6)=1+2+3+6=12\) 6の2倍
- \(S(28)= 1+2+4+7+14+28=56\) 28の2倍
- \(S(496)= 1+2+4+8+16+31+62+124+248+496=992\) 496の2倍
となります。
完全数の例…6,28,496…
完全数は無限個ある?
実は,完全数が無限個あるかどうかは未だに証明されていません。
そして,いままで見つかっている完全数は全て偶数で,奇数の完全数は存在が確認されていません。(あるかもしれないらしい)
完全数の公式
完全数は,偶数しか見つかっていないという話をしました。
では次に,その 完全数の形は一般化ユークリッドやオイラーによって一般化されているという話をします。まず,ユークリッドは,
「\(2^n-1\)が素数ならば,\(2^{n-1}(2^n-1)\)は偶数の完全数である」
ということを証明しました。
試しに,nに2を入れてみると,6となり,3だと28,5だと496となります。
では,\(2^{n-1}(2^n-1)\)以外の形の完全数は存在するのかというと,
そのような完全数は存在しないことがオイラーによって証明されています。
「偶数の完全数は全て\(2^{n-1}(2^n-1)\)で表される」
メルセンヌ数
まず,メルセンヌ数とは,\(2^n-1\)の形の自然数のことをいいます。
例えば,1,3,7,15,31,63\(\dots\)のことをいいます。
メルセンヌ数とは違う、メルセンヌ素数もあり完全数\(2^n-1\)の形の素数のことをいいます。
具体的に,3,7,31,127などがあげられます。
このメルセンヌ素数は,完全数\(2^{n-1}(2^n-1)\)の右側と同じものです。
実は,このメルセンヌ素数は,完全数が無限に存在するかどうかという問題を解く足がかりになってくれる大事な数です。
つまり,完全数が無限に存在することを示すためには,メルセンヌ素数が無限に存在することを示すことが必要十分条件になるのです。
余談
メルセンヌ数\(2^n-1\)の中で,nがkの倍数のものは\(2^k-1\)の倍数となることが知られています。
具体的に言うと,nが偶数のものは3の倍数となり,nが3の倍数のものは7の倍数になります。
これらの証明問題は,旧帝大の難関大学の証明問題として出てくることがあります。
解き方は,二項定理を使って証明すると,うまく導けます。
友愛数
2つの自然数で,自分自身を除いた約数の和が,他の数とお互いに等しくなる数のことを友愛数と言います。
例として
220と284
220の約数の和
1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284
284の約数の和
1+2+4+71+142=220
ということで,見事に相手の数と一致しています。
ですが,この友愛数のペアはなぜか,偶数同士,奇数同士が見つかっていて,偶数と奇数のペアは見つかっていません。
婚約数

2つの自然数で,1以外と自分自身以外の約数の和が相手の数になるものを婚約数といいます。
例:48と75
48=2+3+4+6+8+12+16+24=75
75=3+5+15+25=48
婚約数は,友愛数とは逆に,偶数と奇数のペアは見つかっていますが,奇数同士,偶数同士のペアは見つかっていません。
婚約数プロポーズで使うのもあり(笑)

どうですか?
結婚してくれ!と堂々と言うことが恥ずかしかったらこのように,遠回しにでも伝えてみてはいかがでしょうか。(多分、嫌われる)
【別件】約数の和を速く計算しよう

人生において約数の和を速く,計算する場面が何度かやってきます。(来ない)
その時に備えて,約数の和を速く計算する方法をお教えしておきます。
その前に,約数の和を速く解く前に知っておかなければならない知識が2つあります。
- 素因数分解
- \(S(ab)=S(a)\times\S(b) (a,bは互いに素)\)
という事実を知っていれば,大丈夫です。
例題1:496の約数の和\(S(496)\)
手順1:496を素因数分解する
496=\(2^4*31\)
手順2:\(S(2^4)\),31のそれぞれの約数の和\(S(2^4)\),S(31)を計算する。
$$S(2^4) =1+2+2^2+2^3+2^4=31$$
$$S(31)=1+31=32$$
手順3:約数の和の性質を使って\(S(496)\)を求める
例題2:17296の約数の和(S(17296)\)
17296の約数の和\(S(17296)\)を求めてみよう!
桁数が大きいですって?そんなことはありません。
先ほど同様に計算すれば,簡単に解けます。
例題2解答:
手順1:17296を素因数分解する
17296=\(2^4\times23\times47\)
手順2:\(2^4\),23,47のそれぞれの約数の和\(S(2^4)\),S(23),S(47)を計算する。
$$ S(2^4)=1+2+2^2+2^3+2^4=31$$
$$S(23)=1+23=24$$
$$S(47)=1+47=48$$
手順3:約数の和の性質を使って\(S(17296)\)を求める
$$S(17296)=S(2^4)\times S(23)\times S(47)$$
が成立するので,
$$S(17296)=\times\times=35712$$
これで,いつでも速く約数の和が出せる。
〇〇数のまとめ

・完全数は自分自身を除く約数の和に等しくなる自然数
・メルセンヌ数は\(2^n-1\)の形の自然数
・友愛数は2つの自然数で,自分自身を除いた約数の和が,他の数とお互いに等しくなる数
・婚約数は2つの自然数で,1以外と自分自身以外の約数の和が相手の数
・約数の和を早く出せる!
最後に
今回は完全数,メルセンヌ数,友愛数,婚約数について見てきました。
素数以外にこんなカッコイイ感じの名前がついているものがあるなんて知らなかったですよね。
日常生活でどのように使うのかはみなさん次第です。
あなたの好きな数字は?と聞かれ「6。だって完全数だから。いやだから完全数っていうのは…」と知識をひけらかしてもいいですし,
「友愛の証にこれを…」と220と284の数字を渡してもいいかもしれませんね。
嫌われない程度に利用してください。