落ち込んだら緑色を見るようにしています。
前回は、色の基本的な知識について詰め込んだ記事でした。
今回は、実際のマーケティングなどや自分をコントロールするために使うことのできる色彩心理学について記事にしています。
今回の記事を読むメリットは、
・色が与える影響について理解できる。
・自分をコントロールするために色をうまく使うことができる。
です。
味覚などから連想される色
人は、味覚から色を連想します。
それは何色ですか?
心理テスト風ですが、あなたの味に対する色の捉え方を試しています。
だいたい、黒や茶色などの暗めの色だったのではないでしょうか?
味覚に対する色は、日本では
・甘い…ピンクや淡い黄色
・苦い…黒、茶、灰
・渋い…濃い緑
・酸っぱい…黄緑
・辛い…赤、黒い赤
・しょっぱい…白、藍、青
といわれています。また、
・美味しそうな色…ピンク、赤、橙、黄などの暖色系
・美味しくなさそうな色…暗い黄、暗い黄緑、暗い紫などの暗い色
・食欲減退…青、緑など
などです。
なんとなく、味覚で味を想像したときに当てはまったのではないでしょうか。
香りも連想
また、味覚だけでなく香りなども色を連想します。
さて、そのパッケージは何色ですか?
アニメなどでも匂いに合わせた色を使ってあり、視聴者が匂いをイメージしやすいような工夫がされています。
匂いに対応した色は、ざっくり3種類あり
・花香性…ピンク色や青紫などの花系
・果実性…黄色、オレンジ、黄緑などのレモン系
・自然性…緑などの草系
などで、直観的に感じています。
腐敗臭などは、黒いイメージです。
色が与える感情
私たちは色に対して、好き、嫌い、美しい、醜いといった情緒的な印象である「表現感情」と暖かい、冷たい、近い、遠いなどの知覚的な印象である「固有感情」を持ちます。
色から温度を感じるものは、固有感情に当たります。
色から感じる寒暖
私たちは色を視覚で捉えていますが、さまざまな色を見て皮膚で感じ取るような寒暖さを生じます。
こちらの画像をご覧ください。
こちらは「いらすとや」というフリー素材のサイトから利用したイラストです。
室内で熱中症になっているような様子を描いた作品ですが、暑さを表現するために鼻からおでこにかけて薄紅色で描かれています。
続いてこちらをご覧ください。
同様にいらすとやで描かれていたイラストですが、こちらも同じように寒さを表現するために、水色のグラデーションでおでこから鼻にかけて描かれています。
どちらも実際はそれほどの色の違いはありませんが、見る人が想像しやすいように色をつけて表現しています。
赤や橙などの色には暖かさを感じ、これを暖色といいます。
それに対して青などの色には冷たさを感じ、これを寒色といいます。
経験によるもの
これは人間の歴史的な経験から呼び起こされると考えられています。
赤や橙は炎や太陽を連想させ、そこで体感したことのある暖かさを連想し、青は水を連想し、そこで体感した冷たさや寒さに結びつくといいます。
実際に暖色系でまとめたインテリアを置いた部屋と、寒色系でまとめたインテリアを置いた部屋に被験者を入れて実験をすると、暖色系の部屋の方が体感温度よりも2,3度高いという結果があります。
ただし、これまでの経験的なものが考慮されるため、「赤は冷たいもの」「青や暖かいもの」という、特殊な印象を持っている場合にはその通りに反映されることが多いです。
色の印象には個人差があり、必ずしも感覚が一致するとは言えません。
重く感じる色
どちらを持って行きますか?
直感的に白いダンベルを選んでしまうのではないでしょうか?
ある逸話に、運搬する箱の色を黒から薄い緑に塗り替えたことによって、工場での作業効率が上がったという話があります。
この話から、イメージとして重く感じる色と軽く感じる色があるということがあると考察できます。
明度の影響が大きい
この見かけの軽重感は、明度が高くなると軽く、明度が低くなると重く感じるという報告があります。
白は軽い印象、黒は重い印象というイメージはなんとなくありますよね。
色相や彩度の違いはそれほど影響を与えません。
シャルパンティエ効果との相関
こちらの記事でシャルパンティエ効果について紹介しています。
簡単な例で説明すると、10kgのダンベルと10kgの羽毛布団は同じ重さですが、羽毛布団の方が持った時に軽く感じるというものです。
体積が大きい布団の方が軽く感じるという錯覚をシャルパンティエ効果といいます。
「大きさー重さの錯覚」とも言い換えることができます。
この効果を先ほど説明した明度と当てはめて考えると、白などの明度の高い色は膨張して見える色であり、黒などの明度の低い色は収縮して見える色であるので、白は軽く感じると言えます。
記事では、シャルパンティエ効果は数字の錯覚や見た目の錯覚という風に紹介していましたが、色の錯覚も加わっているかもしれません。
膨張色と収縮色
暖色系と寒色系のように、同じものでも色によって大きさの捉え方が変わってしまいます。
大きく膨らんで見えるものを膨張色、小さく縮んで見えるものを収縮色といいます。
膨張の条件
・明度が高い
・彩度が高い
この2つが膨張の条件です。
反対に明度と彩度が低いものは収縮しているように見えます。無彩色では白、有彩色では明度の高い黄色が大きく見え、黒が一番収縮どの高い色となります。
膨張しているからこそ、暖かく感じる(暖色系)とも考えられますね。
進出色と後退色
同じ距離でも、前にあるよう見える色と、後ろにあるように見える色があります。
実際よりも前にあるように見える色を進出色、後ろにあるように見える色を後退色といいます。
一般的には色相に影響されると考えられています。
暖色系が進出色、寒色系が後退色といわれていますが、まだわかりません。
色収差が原因!?
色が距離に与える影響がある原因についてはまだ正確にはわかっていません。
一番有力な説は「色収差」です。
長波長は赤、短波長は青などの、色の違いは波長の長さの違いによるものですが、眼のレンズを通過するときの屈折率が、長波長は鈍角(90度以上180度未満)、短波長は鋭角(0度以上90度未満)と異なります。これが「色収差」です。
水に光を入射すると、反射角度は実際よりも折れ曲がって水の中を通ります。これを屈折といいますが、波長が眼のレンズを通過する際にも同じことが起こっているということです。
屈折率が鈍角の長波長は網膜より後ろに見え、短波長の青は網膜よりも手前で見えます。
それにより、実際よりも距離が違うのではないかという説になります。
まだまだ実験結果にもばらつきがあり、証明はできていません。
興奮する色、冷静になる色
聞いたことがある話だと思いますが、赤を見ると興奮し、青を見ると冷静になるという話です。
色による興奮・沈静があります。その中で、彩度の影響が大きかったと言います。
色相では、赤と赤紫が興奮する色、紫と橙が中性、それ以外が冷静になる色とされています。
その中で、赤みに色相が傾くほど興奮感が増大し、寒色系の青みに傾くほど冷静感が増大するといいます。
つまり、赤みが強い彩度が高い色の方が興奮感が増すということです。
オリンピックでの調査
青いユニホームと赤いユニホームでの勝率を調査すると、ほぼ同じレベルの相手では20%も赤いユニホームの方が勝率が高い
赤の着用者は勝利する傾向にあることが統計学的に明らかになった。
赤の着用では、テストステロンの濃度を押し上げるからだという推測があります。
テストステロンとは、生殖器や副腎から分泌される男性ホルモンの一種で、筋肉や骨格、生殖器などの発達に影響するものです。
また、赤は相手に対して優位性を示し、相手に威圧感を与える色です。自分では鼓舞され、相手は気圧されてしまえば戦う前から勝負は決まっているようなものですね。
青や緑は抑制の色
イギリスのロンドンにあるブラックフライア橋は自殺の名所として知られていました。
橋の色を黒から緑に塗り替えると、自殺者が3分の1にまで減ったと言います。
また、イギリスのグラスゴー市で町の景観のために街路灯の色をオレンジから青に変更したところ、犯罪件数が減少したという報告が伝わりました。
このことから、青や緑は抑制する色として考えられています。
音から色を感じる共感覚(色聴)
一般的には、音は聴覚で捉え、匂いは嗅覚で捉えるというように1つの刺激に対して1つの感覚が生じます。
これに対して、1つの刺激に対して異なる種類の感覚を生じることを「共感覚」と言います。
文字や音に色を感じたり、形に味を感じたりするらしいです。
主観的に体験する(クオリア)であり、共感覚を持っていない人には理解ができないものです。
クオリアとは、新しい家のあの感じ!みたいな自分だけが想像できるような「あの」感じです。自分だけしかわからないので、他者と共有することが難しいものです。
その共感覚の中で、音楽や音を聴いて色を感じる知覚を「色聴」と言います。
音の高さを聴いただけでわかる「絶対音感」に多い感覚です。
共感覚を持っているからといって、精神的な病気との関連はないです。
色の与える影響のまとめ
結論:色が与える影響は大きい
痩せて見せたい、重く・狭く感じたい…黒い服、壁紙
部屋を広く感じたい…白の壁紙
暖かく感じたい、熱くなりたい…赤い服
涼しく感じたい、冷静になりたい…青い服
最後に
自分の気分に合わせた色を選ぶといいと聞きます。
テンションが低い時に無理に赤い色を見て興奮しようとしても、余計そのギャップで落ち込んでしまうことがあります。
やや暗めの赤い色(彩度が低め)を見て、だんだんとテンションを上げることがオススメです。
音楽でも同じことが言え、失恋した時には失恋ソングがベストです。
無理せず今の自分の身の丈にあった色で、気分を合わせてください。
最後までお疲れ様でした。