どうも,ユキです。
今日は,数学の無限小数の不思議について探求します。
1÷81はいくつになるか知ってる?
今から,不思議な無限小数を2つ紹介します。
この記事を読むと,無限小数の原理を理解することができ,不思議な無限小数を作り出す方法を理解することができます。できれば,最後までご覧いただけたら幸いです。
では,1÷81はいくつになるのかを知っていますか?
自分で電卓を叩いて確かめて欲しいですが,この数の神秘に気づけ!
えい!
1÷81=0.01234567901\(\cdots\)
0~7までが並んで出てきています。
不思議でしょ~~~~?
では,もっとあなたを驚かせてあげましょう。
1÷9801はいくつになるか知ってる?
まさか,と思っているのでは?
そのまさかです。
1÷9801を試しに計算してみましょう。
1÷9801=0.00010203040506070809101112131415\(\cdots\)979900
となります。
えぇ~。嘘だろ!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが本当です。
0~97までの数が連続して並ぶ無限小数の完成です。
う~む。どうしてこうなるのかなぁ?
1÷81,1÷9801を分析
先ほどの無限小数を分析してみましょう。
ここからは高校数学Ⅱ・Bの数列の知識が必要になります。
\(1÷81=0.01234567901\cdots \tag{1}\)
\(1÷9801=0.00010203040506070809101112131415\cdots 979900\cdots \tag{2}\)
では,式(1)を級数の形になおしましょう。すると,
\(\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-(n+1)}=0.01234567901\cdots \tag{1}\)
となります。同様に式(2)を数列で表してみると,
\(\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-2(n+1)}= 0.00010203040506070809101112131415\cdots 979900\cdots \tag{2}\)
となります。
式(1)が本当に1/81なのか?また,式(2)が本当に1/9801なのかを検証していきます。
1/81,1/9801の仕組み
1/81の原理
式(1)を式変形をします。
ここで,式(1)を\(9^2\)培しましょう。その結果が1になれば,式(1)が1/81であることを示せます。
式(1)を\(9^2\)倍すると,
\(9^2\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-(n+1)}=(10-1)(10-1)\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-(n+1)}\)
\(=(10^2-2・10+1)\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-(n+1)}\)
\(=\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-(n-1)}-2n・10^{-n}+n・10^{-(n+1)}\)
\(=\sum_{n=1}^{\infty}n・10^{-(n-1)}-2(n-1)・10^{-(n-1)}+(n-1)・10^{-n} +\underbrace{\sum_{n=0}^{0}n・10^{-(n-1)}}_{0}\)
\(=\sum_{n=2}^{\infty}n・10^{-(n-1)}-2(n-1)・10^{-(n-1)}+(n-2)・10^{-(n-1)}+\sum_{n=1}^{1}\underbrace{n・10^{-(n-1)}}_{1}-\underbrace{2(n-1)・10^{-(n-1)}}_{0}\)
\(=\sum_{n=2}^{\infty}\underbrace{(n-2(n-1)+n-2)}_{0}・10^{-(n-1)}+1=1\)
よって,式(1)の級数は,1/81である事がわかりましたね。
1/9801の原理
1/9801も先ほど同様,式(2)を変形して,1/9801であることを示しましょう。
9801という数字を見て,何かピンときませんか?
実は,この数字は\(99^2\)なのです。
先ほど同様,式(2)を\(99^2\)培しましょう。その結果が1になれば,式(1)が1/81であることを示せます。
式(2)を\(99^2\)倍すると,
\(99^2\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-2(n+1)}=(10^2-1)(10^2-1)\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-2(n+1)}\)
\(=((10^2)^2-2・10^2+1)\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-2(n+1)}\)
\(=\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-2(n-1)}-2n・10^{-2n}+n・10^{-2(n+1)}\)
\(=\sum_{n=1}^{\infty}n・10^{-2(n-1)}-2(n-1)・10^{-2(n-1)}+(n-1)・10^{-2n} +\underbrace{\sum_{n=0}^{0}n・10^{-2(n-1)}}_{0}\)
\(=\sum_{n=2}^{\infty}n・10^{-2(n-1)}-2(n-1)・10^{-2(n-1)}+(n-2)・10^{-2(n-1)}+\sum_{n=1}^{1}\underbrace{n・10^{-2(n-1)}}_{1}\)
\(=\sum_{n=2}^{\infty}\underbrace{(n-2(n-1)+n-2)}_{0}・10^{-2(n-1)}+1=1\)
式(2)は,1/9801であることが示されました。
一般化しよう。
1/81,1/9801の無限小数が連続した数が並ぶことがわかりましたが,
勘が鋭い方は,\(1/999^2\),\(1/9999^2\)も連続した数が並ぶのではないか?
と推測するわけです。
でも,1つ1つ示していくのも面倒なので,式を一般化して,まとめて証明しちゃいましょう。
一般形は,\(1/(10^i-1)^2\)となります。
そして,この数の無限小数は,次の式で表されます。
\(\sum_{n=1}^{\infty}n・10^{-i(n+1)}=0.\underbrace{0\cdots 0}_{i桁}\underbrace{0\cdots 1}_{i桁}\underbrace{0\cdots 2}_{i桁}\cdots\tag{3}\)
一般形が連続した数であることを示すには,式(3)に\((10^i-1)^2\)をかけた結果が1になればいいですね。
式(1),式(2)と同様に,式(3)に\((10^i-1)^2\)かけて式変形をしましょう。
\((10^i-1)^2\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-(n+1)}=(10-1)(10-1)\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-(n+1)}\)
\(=((10^i)^2-2・10^i+1)\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-i(n+1)}\)
\(=\sum_{n=0}^{\infty}n・10^{-i(n-1)}-2n・10^{-in}+n・10^{-i(n+1)}\)
\(=\sum_{n=1}^{\infty}n・10^{-i(n-1)}-2(n-1)・10^{-i(n-1)}+(n-1)・10^{-in} +\underbrace{\sum_{n=0}^{0}n・10^{-(n-1)}}_{0}\)
\(=\sum_{n=2}^{\infty}n・10^{-i(n-1)}-2(n-1)・10^{-i(n-1)}+(n-2)・10^{-i(n-1)}+\)
\(\sum_{n=1}^{1}\underbrace{n・10^{-i(n-1)}}_{1}\)
\(=\sum_{n=2}^{\infty}\underbrace{(n-2(n-1)+n-2)}_{0}・10^{-i(n-1)}+1=1\)
よって,式(3)が,\(\frac{1}{(10^i-1)^2}\)の一般形であることが示されました。
まとめ
\(\frac{1}{(10^i-1)^2}\)を無限小数で表すと,
\(\frac{1}{(10^i-1)^2}=0.\underbrace{0\cdots 0}_{i桁}\underbrace{0\cdots 1}_{i桁}\underbrace{0\cdots 2}_{i桁}\cdots \)
最後に
不思議な数の羅列を数式に落とし込むことで,更に新しい発見をするものです。
皆さんも,数学の不思議を探してみましょう。