大学数学

[電磁気学]静電誘導と静電遮へい

ユキ
ユキ
最近,目覚まし時計を一個増やしました。どうも,ユキです。

今日は電磁気学の静電誘導と静電と遮へい(シールド)についての記事です。

この記事を読むメリット
☑静電誘導と静電遮へいの問題を解くことができるようになる。

静電誘導とは

前回の記事で,導体の5つの性質について学びました。

[電磁気学]導体の5つの性質とコンデンサ大学の電磁気学初学者向けの記事となっています。問題を解く上で必要な導体の諸性質と,コンデンサの静電容量に関する公式の導出をしてみました。また,関連問題(電験の問題)へのリンクを載せていますので,弊記事を電磁気学勉強用に活用してください。...

 

静電誘導を説明するために,導体の性質1.と導体の性質2を使います。

導体の性質1.導体内部の電界は0
導体の性質2.電荷は導体表面のみに存在

導体に電荷を近づけた場合。

では早速,導体に\(Q\)[C]の電荷を近づけてみましょう。

すると,

こうなります。

なぜ,電荷\(Q\)と逆向きの電荷が誘起されるのでしょうか?

その答えは一言で言えば,導体が,導体の性質1.を満たすように振る舞うからです。

この理屈は,導体表面に電荷が誘起されない場合を考えるとわかります。

まず,電荷\(Q\)を置きます。すると,当然のことながら電界が発生します。

ここで,導体を置きましょう。

すると,この導体内には,電界が発生しているということになります。

しかし,このままでは,この導体は,導体の性質1.に反してしまいます。

なので,導体内部の電界を0にする為に,

電荷側に負の電荷を,逆側には正の電荷を誘起させます(静電誘導)。

そうすることで,導体内部の電界は互いに打ち消し合い,

内部電界は0となります。

ユキ
ユキ
この説明を受けても,おそらく理解できないと思いますので,次は,導体に,電界をかけた場合を考えてみましょう。

電界\(E\)を導体にかける

一様電界を考えます。

では,一様電界に導体を置いてみましょう。

ここで,導体は内部の電界を0とするために,電荷が誘起します。

電荷が導体表面に現れたとき,導体内部の電界は0になります。

例題1:

図のように,誘電率\(\varepsilon_0\)の空間に,半径\(a\)の内球と,内半径\(b\)で,外半径\(c\)の外球からなる同心球導体がある。いま,内球に\(Q\)を与えたとき,次の問に答えなさい。

 

(1) \(r\geq c\)のときの電界\(E_1\)と電位\(\phi_1\)
(2) \(b\leq r\geq c\)のときの電界\(E_2\)と電位\(\phi_2\)
(3) \(a\leq r\leq b\)のときの電界\(E_3\)と電位\(\phi_3\)

(4) \(r<a\)のときの電界\(E_4\)と電位\(\phi_4\)

例題1解答

 

(1) 解答

電荷は図のように誘起されます。

電界\(E_1\)について,

半径\(r\)のガウス面を考えると,ガウスの法則より,

\(\oint_{S} \underbrace{E_1}_{|E_1|i_r}・dS=\frac{Q-Q+Q}{\varepsilon_0}\)

\(|E_1|\underbrace{\oint_{S}dS}_{4\pi r^2}=\frac{Q}{\varepsilon_0}\)

\(|E_1|=\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r^2}\)

よって,電界\(E_1\)は,

\(E_1=\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r^2}i_r \)[V/m]

電位\(\phi_1\)について,

\(\phi_1=-\int_{\infty}^{r}\underbrace{E_1}_{|E_1|i_r}・i_r dr\)

\(\phi_1=-\int_{\infty}^{r}\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r^2}dr\)

\(\phi_1=[\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r}]_{\infty}^{r}\)

よって,電位\(\phi_1\)は,

\(\phi_1=\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r}\)[V]

(2) 解答

電界\(E_2\)について,

導体内部の電界は0なので,

\(E_2=0\)[V/m]

また,電位\(\phi_2\)は,

\(\phi_2=-\int_{c}^{r}\underbrace{E_2}_{0}・i_rdr-\int_{\infty}^{c}E_1・i_rdr\)

\(\phi_2=\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 c}\)[V]

(3) 解答

電界\(E_3\)について,

半径\(r\)のガウス面を考えると,ガウスの法則より,

\(\oint_{S} \underbrace{E_3}_{|E_3|i_r}・dS=\frac{Q}{\varepsilon_0}\)

よって,電界\(E_3\)は,

\(E_3=\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r^2} i_r \)[V/m]

また,電位\(\phi_3\)は,

\(\phi_3=-\int_{b}^{r}E_3・i_rdr -\int_{c}^{b}\underbrace{E_2}_{0}・i_rdr-\int_{\infty}^{c}E_1・i_rdr \)

\(\phi_3=-\int_{b}^{r}\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r^2}dr+\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 c}\)

\(\phi_3=[\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r}]_{b}^{r}dr+\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 c}\)

よって,電位\(\phi_3\)は,

\(\phi_3=\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0}(\frac{1}{r}-\frac{1}{b}+\frac{1}{c})\)[V]

(4) 解答

電界\(E_4\)について,

半径\(r\)のガウス面を考えると,ガウスの法則より,

\(\oint_{S} \underbrace{E_1}_{|E_1|i_r}・dS=\frac{0}{\varepsilon_0}=0\)

よって,電界\(E_4\)は,

\(E_4=0\)[V/m]

電位\(\phi_4\)について,

\(\phi_3=-\int_{a}^{r}\underbrace{E_4}_{0}・i_rdr -\int_{c}^{b}\underbrace{E_2}_{0}・i_rdr -\int_{b}^{a}E_3・i_rdr -\int_{c}^{b}\underbrace{E_2}_{0}・i_rdr-\int_{\infty}^{c}E_1・i_rdr \)

よって,電位\(\phi_4\)は,

\(\phi_4=\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0}(\frac{1}{a}-\frac{1}{b}+\frac{1}{c})\)[V]

静電遮へい(シールド)

静電遮へいとは,接地した導体で囲み,周りへの電界の影響をなくすことをいいます。

例えば,例題1で取り上げた同心球導体を考えましょう。

外球を接地すると,外側の電荷が地球へ逃げていきます。

こんな感じで静電遮へいをすることで,周りへ電界が出て行かなくなります

本当に電界は出て行かないのでしょうか?

例題を使って確かめてみましょう。

例題2

図のような同心導体球の内部導体に電荷\(Q\)を与えて,外部導体を接地したとき,次の問に答えなさい。

(1) \(r\geq c\)のときの電界\(E_1\)と電位\(\phi_1\)
(2) \(b\leq r\leq c\)のときの電界\(E_2\)と電位\(\phi_2\)
(3) \(a\leq r\leq b\)のときの電界\(E_3\)と電位\(\phi_3\)
(4) \(r<a\)のときの電界\(E_4\)と電位\(\phi_4\)

 

例題2解答

(1) 解答

電荷は図のように誘起されます。

電界\(E_1\)について,

半径\(r\)のガウス面を考えると,ガウスの法則より,

\(\oint_{S} \underbrace{E_1}_{|E_1|i_r}・dS=\frac{Q-Q}{\varepsilon_0}=0\)

よって,電界\(E_1\)は,

\(E_1=0\)[V/m]

電位\(\phi_1\)について,

\(\phi_1=-\int_{\infty}^{r}\underbrace{E_1}_{0}・i_r dr\)

よって,電位\(\phi_1\)は,

\(\phi_1=\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r}\)[V]

(2) 解答

電界\(E_2\)について,

導体内部の電界は0なので,

\(E_2=0\)[V/m]

また,電位\(\phi_2\)は,

\(\phi_2=-\int_{c}^{r}\underbrace{E_2}_{0}・i_rdr-\int_{\infty}^{c}E_1・i_rdr\)

\(\phi_2=0\)[V]

(3) 解答

電界\(E_3\)について,

半径\(r\)のガウス面を考えると,ガウスの法則より,

\(\oint_{S} \underbrace{E_3}_{|E_3|i_r}・dS=\frac{Q}{\varepsilon_0}\)

よって,電界\(E_3\)は,

\(E_3=\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r^2} i_r \)[V/m]

また,電位\(\phi_3\)は,

\(\phi_3=-\int_{b}^{r}E_3・i_rdr -\int_{c}^{b}\underbrace{E_2}_{0}・i_rdr-\int_{\infty}^{c}E_1・i_rdr \)

\(\phi_3=-\int_{b}^{r}\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r^2}dr+0\)

\(\phi_3=[\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0 r}]_{b}^{r}dr\)

よって,電位\(\phi_3\)は,

\(\phi_3=\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0}(\frac{1}{r}-\frac{1}{b})\)[V]

(4) 解答

電界\(E_4\)について,

半径\(r\)のガウス面を考えると,ガウスの法則より,

\(\oint_{S} \underbrace{E_1}_{|E_1|i_r}・dS=\frac{0}{\varepsilon_0}=0\)

よって,電界\(E_4\)は,

\(E_4=0\)[V/m]

電位\(\phi_4\)について,

\(\phi_3=-\int_{a}^{r}\underbrace{E_4}_{0}・i_rdr -\int_{c}^{b}\underbrace{E_2}_{0}・i_rdr -\int_{b}^{a}E_3・i_rdr -\int_{c}^{b}\underbrace{E_2}_{0}・i_rdr-\int_{\infty}^{c}E_1・i_rdr \)

よって,電位\(\phi_4\)は,

\(\phi_4=\frac{Q}{4\pi \varepsilon_0}(\frac{1}{a}-\frac{1}{b})\)[V]

関連問題

前回の電磁気学

[電磁気学]導体の5つの性質とコンデンサ大学の電磁気学初学者向けの記事となっています。問題を解く上で必要な導体の諸性質と,コンデンサの静電容量に関する公式の導出をしてみました。また,関連問題(電験の問題)へのリンクを載せていますので,弊記事を電磁気学勉強用に活用してください。...

次の電磁気学

電束密度と電気双極子モーメントについて電束密度,電気分極,電気双極子モーメントなどの物理量をご存じでしょうか?これを知ることで,物質の中の電気的性質がより鮮明に浮かび上がってくるでしょう。また,これらに関する電気主任技術者試験の問題へのリンクを貼っているので,勉強用として活用してください。...

 

最後に

静電遮へいは別名シールドと呼ばれているそうです。確かに,電界から私たちを守るという意味でシールドと言えるかもしれませんね。

ABOUT ME
ユキ
数学担当です。お金大好き大学生やってます。 講義がないときは、だいたい図書館にいるので図書館の門番とも呼ばれています。 L・O・V・E ラブリー マネー!